キャリアデザイン研修
キャリアコンサルタントとして、組織で働く人のキャリアデザインを支援することは、重要な役割です。倫理綱領第11条にもあるように、組織との契約関係にあるキャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、相談者に対する支援だけでは解決できない環境の問題や、相談者の利益を損なう問題等を発見した場合は、相談者の了解を得て、組織への問題の報告・指導・改善案等の環境への働きかけに努めなければならないとあります。
これまでであれば、外部講師がキャリアデザインについての研修だけを提供していればよいという立ち位置であったかもしれませんが、今後は、もう一歩踏み込み、キャリアコンサルタント自らが人材育成に携わることが必要です。
手順としては、キャリアデザインを受講する方々と、個別面談を行い、半構造化面接を行います。そこで、受講される方の思いや、考え方、不満や希望を聴きだし、キャリアコンサルタントが中立な立場で、環境へ働きかけることを企業に提案します。
次にキャリアデザイン研修にて、キャリア開発の重要性を労働者に理解してもらいます。
内容としては、①労働者が今置かれている立ち位置を確認(日本の構造上の問題や所属組織の置かれている現状情報提供も含め)、視野を広げてもらい、エンプロイアビリティーを高めるためのキャリアの棚卸を行います。②キャリアの概念を広げるために平均寿命までいくら必要かの生涯賃金を算出します。③自分で自分を動機づけるモチベーションの源泉を探してもらいます。④ストレスの正しい理解と職場のストレスマネジメント④職種におけるエンプロイアビリティーの棚卸⑤階層別の問題解決⑥キャリアデザインの行動計画(1年後の目標と、3か月後の行動計画を立てます。研修の最後に、キャリアコンサルタントから、それぞれに個々の強み・弱みをフィードバックします。
3か月後に、数字につながる職種のスキルアップ研修を実施し、さらにその後の面談にて、モチベーションを維持させ、成果に結びつけていきます。
これまでは、企業内の上司と部下との関係の中で行われてきた人材育成や目標管理ですが、近年、能力開発の指導者不足や時間不足という状況からも、今後は、利害関係がない外部のキャリアコンサルタントと、労働者が真の力を発揮するためにどうすればよいのかという課題のために、信頼関係を構築し、問題を把握し、労働者のキャリア形成と組織が求める人材の共有部分の目標に対して、具体的な方策を実施してもらうように働きかけていくことが必要です。目の前の仕事をかたずけなければならない労働者にとって、様々な情報提供や、成果が上がる方法論を見いだせず、堂々巡りをしている人は意外と多いようです。
労働者の生涯にわたる充実したキャリア形成を支援していくためには、中立的な立場で動機づけができるキャリアコンサルタントこそ、これからの時代に必要な「企業」と「労働者」の双方が活性化する架け橋となることが求められているのではないかと思います。
美容業界キャリアコンサルティングより